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家具おもしろ話(吉蔵オーナーブログ)

2016.07.15

グッドデザイン(Gマーク)はお金がかかる。

ZUSHIカシコは我が工房の代表家具のひとつで、新鮮なデザインが特徴です。

静岡県のコンペで入選し、その勢いで日本のデザインの最高権威
2007年度Good Design賞(Gマーク取得)に挑戦しました。
     
 
第一次審査は書類によるノミネート商品の審査。 審査料は10,500円
それにパスしたので、次は現物による二次審査。
一次審査を通過した製品約3000点が東京ビッグサイトに展示され、
専門家によって入念に審査されます。
 
審査後は一般公開があるので、多くのデザイン愛好家が訪れ,その数は約5万人。
第二次審査料42,000円、展示スペース料18,900円、展示装飾料42,000円。
この審査を通過した商品がGood Design賞受賞(Gマーク製品)になります。
 
   
幸運にも、我がZUSHIカシコは二次審査も通過し、晴れてGマーク製品になりました。
がしかし、それで終わりではありません。
Gマーク製品を世にアピールしなければなりません。
 
  
商品などに付けるGマークシールが1セット10,500円。
2007年度Good Design賞受賞製品イヤーブック(写真右)への掲載料13,650円
以上、合計すると締めて137,550円。
さらにGマークを会社のカタログやHPなどに使用、宣伝に使うには
使用料を1年ごとに150,000円請求されます。
 
飛行機からクリップなど身の回りの物まで、
デザインがいいことに越したことはありませんが、
あまりにお金が掛かり過ぎて、我が社のような小さい企業には少々負担が多すぎました。
   

2016.07.02

フィンランドの木工青年がやってきた。

「吉蔵」の家具製作をしている木工所に
静岡へ木工研修に来ているフィンランドの青年がやって来た。

作業場にある様々な木材を見て興味深い事を言った。

・彼らの国では黒檀やローズウッド、ウェンジュなど、
濃い色の木に人気がある。

・日本では無垢の、それも一枚板のテーブルが最高と言われる。
ところが彼らの国では線状になった柾目を接いだテーブルが一般的。
それも出来るだけ美しい木目の突き板をフラッシュ状態にしたもの。
(日本では張り物と言われて格下げになるもの)
無垢材を使用する場合でも柾目状の角材を細かく接いで製作する。
木目の荒い板目の模様は好まれないそうだ。

・日本の道具に対して非常に憧れがあり、
良いノミやカンナを買って帰りたい。
など。

安全性や環境面では先進国のフィンランドですが、
機械化が進んでいる木工界でも
手仕事ならではの美しい家具の姿には憧れも大きいそうです。
彼は5月から2か月間の木工研修の後、残りの一か月で
日本国内を旅してまわるそうです。

2016.06.15

KAGUメッセは何処へいく?

4年前(2012年)の今日(6/12)、facebookの中で、
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kittsan流ブログ 2012年6月12日 「KAGUメッセは何処へいく?」

シズオカ家具のビックイベント、「シズオカKAGUメッセ」が終了しました。
前半の業者向け、後半の一般向け、
ご来場いただいた多くの皆さま、ありがとうございました。

業者向けの三日間。ゆるりと始まったメッセは来客数が分散したようです。
東京でインテリアライフスタイル展があったためか、それと掛け持ちの業者が多い。
午前中のいっときの混雑で、後は浪が引いたように静か。
静岡特有の「待ち」の展示会がここ何年も続いています。

それでも、「吉蔵」ブースで展開した「新しい祈りの家具とシーン」の試みは、
何人かの業者の方に関心を持っていただいたようです。
県知事賞を受賞した「厨子コンソール<ムゼウム>」には
大手の業者さんからオファーがありました。
「掌の厨子」はもう珍しいものではなく、インテリアショップが扱ってくれています。
東京のデザイナー集団からオリジナル厨子の依頼もありました。
仏壇に代わる、新しい「祈りのインテリア」の市場は確実に変わりつつあります。

一日空けて、後半の週末二日間は一般向けの公開日。
初日土曜日、雨の天気予報なので、お客様の入りを心配しましたが、
開けてビックリ、オープニングからお客様の入場が続々と続く。
午後になっても、夕方になっても、波はそれほど引いていかない。
2日目も同様の賑わいで、結果、昨年の倍以上の来場者があったそうです。

「吉蔵」ブースもてんてこまい、あちらの方に一言、こちらで一言、
「カタログはこれだけですか。」
「このアクセサリーをお願いします。」
「この厨子はお一人様用ですか?」
「○○宗なんですけれど、どれがいいんでしょう?」

妻と私は声を枯らして、家具の説明とカタログ配りに追われまくり。
300枚以上用意した資料は2日目半ばで消えてしまいました。
今さらながら、準備不足と説明不足を悔いるばかりでした。

ある出展メーカーの人が言っていました。
「業者の人は、自分が何を売りたいのか解っていない。
 それがなければ、世の中のトレンド情報を探しに来たって見つからない。」
「一般消費者のほうが反応が早い。欲しいと思うものには徹底的に食いついてくる。」

何時までも変わらない、売りたい買いたい物のない、業者対応の「シズオカKAGUメッセ」
一般消費者が、インテリアの何かに期待しながら大挙押し寄せた「シズオカKAGUメッセ」

この落差を、この分断を、私たち主催者はどう考えたらいいのか?
確実に、今年の展示会は、そのターニングポイント。
来年は? 再来年は? 続けるのか? やめるのか?

7000人以上の、インテリアに関心があり家具に関係している人達を取り囲み、
今日から明日への、賢い購買層に育て上げていく事が出来なければ、その意義はない。

半世紀以上続いている、伝統の「シズオカKAGUメッセ」はこれから何処へいくのだろう? 

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あれから四年。
今年の業者さんの波は凪(なぎ)状態で来場者10%以上の減。
一般家具愛好家の波は繰り返し繰り返し今年も打ち寄せました。

ただ、今思うことは、
他県の業者にとってメッセに「核」となる魅力的なものがないと
わざわざ交通費を払って静岡へは来ないということ。
一般ユーザーの方もより賢く、デザイン・機能・価格などの
要素をチェックし、買う買わないを決めるということ。

人をどうこう言うより、自分がどうしなければならないのか?
そういう問題をさらに突き付けられた今年のメッセでした。

2016.04.29

関保雄著「江戸指物」/貴重な和家具の本

「 木の温もりと手の温もりの出会い。
  江戸指物 ー それは
  東京下町の生活に根ざした 
  何よりも職人たちの”手”による
  木工和家具類である 」

関 保雄著「江戸指物 ー 下町職人の粋と意気」(淡交社)・・・帯の紹介文より

著者の関保雄さんは上野池之端の和家具屋「京屋」の番頭さんをしていた人で、
指物家具職人、指物愛好家の間では知らない人はいないでしょう。
学者ではなく、商売人の著者が、日本の木工指物の盛衰を実体験から語っています。

箪笥、鏡台、厨子、飾棚などの箱物から下駄、箸などの小物まで、
職人の手仕事による生活用具を掲載。
指物家具で珍重された国内の木材、職人の工具、指物技術(仕口)の説明。
語り継がれる歴代の江戸指物師のこと。
少ないながらもプライドをもって技を磨く若手指物職人のこと。
そして、江戸町人が育てた粋の文化の変わりゆく様。

数々の貴重な図面やスケッチとともに、江戸指物の世界のすべてを紹介しています。
おそらく、世界最高の木工技術と評価される、
日本の指物家具の世界を紹介した、唯一の本でしょう。


実はわたしはこの本を、最近やっと手に入れました。
ずっと前から(1996年発刊)あったので、現在も書店にあると思ったら、
とっくに廃刊になっていたようです。

取引先の社長さんが二冊持っていたので、好意で一冊譲ってもらいました。
その後、出版社、著者、知り合いの職人さん、家具屋さんなど、
幾つも問い合わせてみましたが、ありません。
アマゾンの中古本では、数倍の値段が付いていました。
島桑ファンのイギリスの教授にプレゼントしたくて、今も探しています。

江戸指物や京指物は、そのままでは美術館入りになってしまいます。
しかし、垢抜けたデザインや小振りのサイズなど、参考になる点が多くあります。

存在感を強調するような欧米の家具とは違う、
粋で控えめな佇まいのこれらの家具のエッセンスを、
もっと今日の暮らしの中に生きる家具にリニュアルしていくにはどうしたらいいか。
以前からず〜っと模索しています。

 

2016.04.19

正倉院「黒柿両面厨子」にあった合板の技術?

 9月17日から始まる「吉蔵・秋の室礼展」に向けて、
厨子の資料を捜していたら、こんな面白い記事がありました。

 

 

「正倉院に納められている「黒柿両面厨子」は木工家にとって、注目の的ですが、
どうも合板技術が使われているらしい。
天板、地板とも、7枚の黒柿薄板を合わせて、狂いや割れを防いでいる。」
「へ〜、そんな昔に今で言う合板の技術があったんだ。」と驚いたのですが、
どうも著者の間違いで、一枚板ではなく、七枚の黒柿細板を並べて、はいである事のようです。
 
 
 
 
ところが、木象嵌の細工が美しい「紫檀木画双六局」は、
天板の構造が、芯材の表面に紫檀の板を貼って作られているという。
これこそ、まさしく合板そのもの。
やっぱり、遠い昔、無垢材の反りやひねりをどう調整するか、知恵を出していたのですね。
  
薄く剥いた板を木材などの表面に接着する手法は、
すでに、B.C.1500年代古代エジプトで行われていた。
その手法はローマ時代、ルネッサンス時代に受け継がれ手工業的工法で家具やドアなどをに利用。
1880年代頃にはいまのベニヤ板のように工業化されていたとされている。
(日本合板工業組合連合会による) 
 
今でも、一枚板、無垢材を信仰としている木工愛好家が多々います。
無垢が本物、合板はニセモノと、客の前で公言している人さえいます。
でも、そういう人ほど、木が反ったり割れたりするのは自然だからと、うそぶく。
残念ながら多くの人が、無垢材を扱う長い経験を持たず、技術を知らないからです。
 
正倉院宝物の合板技術に見るように、
板(木が反るとかく)の問題点をどう克服したらいいか、すでに研究されていた事実。
機械で切ったまま、微調整という手仕事が出来なくなっている、現代木工職人の風潮を見るようです。
特に静岡は、合板を利用する合理的な指物技術が伝承されてきました。
無垢だけに拘らず、多様な木の使い方を考えたら、もっと可能性が広がると思います。
    

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